かんべむさし著、「ミラクル三年、柿八年」(2010.01.13、小学館発行)から


プロローグ

「ラジオ大阪の放送開始って、いつや。昭和33年7月か。そしたら、わしが米朝
(べえ)さんと番組やりだしたんは、その6年後か。当時は桜橋(さくらばし)の
産経新聞の横の、マッチ箱みたいなビルでな。3階建てで、しかも1階は別の喫茶
店や。スタジオ増やそうにもスペースがないちゅうんで、何とまあ、トイレつぶし
て作りよった」(小松左京談)


第1章 素人、それともド素人?

 (かんべさんが、2005年4月からOBCで、同局の女性アナと月曜〜金曜の
朝の生番組「むさし・ふみ子の朝はミラクル!」を放送することになったが、この
とき、スタッフ会議を開く前に、その女性アナがかんべさんに・・・)
「参考までにお伝えしておきますけど、作家さんがちゃんとやってくれるのかとい
う心配の声も出てるらしいので、そこのところはよろしく」
 えっと眉をあげて、かんべは問い返す。
「小松さんとかアベマキさんとか、OBCは作家起用の元祖みたいな局なのに?」
 前者は、小松左京と桂米朝の知的な馬鹿話が夜の受験生や大学生を惹きつけた、
週1回生放送の『題名のない番組』。後者は『阿部牧郎(まきお)とその一味』と
いうタイトルで夕方に流されていた、これもまた生の情報ベルト番組。
「でも、桜橋時代のそういう雰囲気を、直接には知らない社員が増えてるからね」


第3章 活字人間の不安がつのる

 (米朝さんが録音で番組に出演することになり、梅田のホテルで月曜〜金曜の5
回分を収録したが、その収録した話しの中に・・・)
 また、ラジオ史のなかには当然、往年の『題名のない番組』も出てきた。
「あれ、東大や京大てな、レベルの高い大学をめざす受験生なんかが、よう聞いて
くれてたんですな。小松さんがちょっと古典文学のパロディでも作ったら、次の週
にはそれを上まわるやつがどっとくる。漢詩でも杜甫や李白なんか序の口で、なか
にはこっちの二人ともが、原典が何やらわからんのがある。七言絶句とか四六駢儷
体(しろくべんれいたい)でおもろいこと書いてきて、原典は何かわかるかって書
いてある。そんなもん、別に挑戦してこんでもええのにな」
 もちろん、放送には枠に合わせて編集したものを使ったのだが、収録したままの
素材をCDに移してもらい、かんべは宝物として保存しておくことにしたのであ
る。