兵に告ぐ 1936年(昭和11年)年2月26日の反乱に参加した兵に対する投降勧告。 29日に、ラジオ放送とビラ(伝單)とで行われた。 ■ ラジオ放送 兵に告ぐ 敕命が發せられたのである。既に天皇陛下の御命令が發せられたのである。 お前逹は上官の命令を正しいものと信じて絶對服從して誠心誠意活動してきたの であらうが既に天皇陛下の御命令によつてお前逹は皆復歸せよと仰せられたので ある。 此上お前逹が飽く迄も抵抗したならば夫は敕命に叛抗することになり逆賊となら なければならない。 正しいことをしてゐると信じてゐたのにそれが間違つて居たと知つたならば徒ら に今迄の行き懸りや義理上から何時までも叛抗的態度を取つて天皇陛下に叛き奉 り逆賊としての汚名を永久に受けるやうなことがあつてはならない。 今からでも決して遲くはないから直に抵抗をやめて軍旗の下に復歸する樣にせよ。 さうしたら今までの罪を許されるのである。 お前逹の父兄は勿論のこと國民全體もそれを心から祈つて居るのである。速やか に現在の位置を棄てて歸つてこい。 戒巖司令官 香椎中將 ■ ビラ 下士官兵に告ぐ 1.今からでも遲くないから原隊へ歸れ 2.抵抗する者は全部逆賊であるから射殺する 3.お前逹の父母兄弟は國賊となるので皆泣いておるぞ 2月29日 戒巖司令部 |