古今和歌集 序
紀貫之、紀友則、凡河内躬恒、壬生忠岑
やまと歌は、人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける。世の中にある
人、事、わざ、繁きものなれば、心に思ふことを、見るもの、聞くものにつけ
て、言ひ出だせるなり。花に鳴く鴬、水に棲む蛙の声を聞けば、生きとし生ける
物、いづれか歌を詠まざりける。