題名のない番組(再録) |
1968年5月8日放送の再録 (再録は途中から) 米朝 5円に値上げですって。小松左京の5号が。 菊地 あぁ、3円ではかわいそうやから……。 小松 そうすると、今日は2127円、28円。そうとうなもんやな。 菊地 28円、小松さんの……。 小松 これだけ、□□□、どうでっかいな、金だいぶ貯まったし、手形の割り引き でもやりまへんか、いっちょう。ほんまに、まぁ。 米朝 手形の割り引き。それからまだまだもう1000円。 小松 まだ、来てまんのか。 米朝 「少しですが、かわいそうな人達のために使ってください。タイガースの1 ファン。」 小松 わたし、かわいそう、わたし、かわいそう。 菊地 (笑) 米朝 かわいそうない! かわいそうなことない。 小松 かわいそう、かわいそうですよ、まぁ、もう。 菊地 こうなったら誰でもいい……。あんまり、かわいそう、かわいそうゆうたら あきませんよ。 小松左京殿 謹啓 先週、左京先生はクラゲを漢字で書くと、「海の母」だとおっしゃったよ うに思いますが、あたしが所有しているところの辞書には、いかにして見 ても「水の母」または「海の父」とあるのみです。 わたしの辞書が間違っているのでしょうか? それとも先生は「海の母」 とはおっしゃらずに「水の母」とおっしゃったのでしょうか、教えてくだ さい。 西宮市のきしもとかんしょうむさん。 米朝 この間、あれ、海月、海母とも書くとゆうて、言い間違えでしたな。 小松 ちょっと、言い間違いでしたな。これは、あのう間違いました。これは「水 母」ですわ。「母」とゆう字があるでしょ。あれ、日本の言葉では「海」の 中に「母」があり、フランスの言葉では「母」の中に「海」がある。 フランス語で「メール」ちゅ字に、「e」があるとないとの違いなんです。 どちらも、フランス語で「ラメール(La mer)」ちゅうと「海」で、「おっ かさん」が「メール(me`re)」。 米朝 それで、向こうは「海」の中に「母」が、いや、逆であると。 小松 □□□ 米朝 「母」とゆう字はね、象形文字でね。あれ、横にすると、お乳を二つ並べた ん。 小松 そうだ。 米朝 おっぱい。まる、ちょん、まる、ちょん。ここから「母」とゆう文字……。 そうゆう象形文字やとゆう……。 小松 そやなぁ、あのおっぱいはちょっと……。 菊地 なんか、あたしに一言ありそうな……。 小松 (笑) 米朝 おっぱいの話しが出ると、あんた気にするからねぇ。 菊地 も、よろしい。よろしい、よろしい。 米朝 しかし、これぐらいのお貰いで喜んでたら、あかんで〜。 全国の若人諸君、新聞に発表された政治家の所得と、政治献金□□□を見 たか? 佐藤栄作の所得申告なんかは1200万。あれぐらいで、あんな 生活ができるか。□□□、言葉で言い現せないほどの憤りを感じる。はっ きり言えば、改正案でなく、改悪案。 政治に無関心にならないで、若人、団結しようではないか。いいように使 用さて戦前の若い者になってしまうであろう。場合によっては、全学連の ような態度を取り入れるべきである。また、参院選挙には、選挙権のある 者は責任ある投票をして欲しい。 言っておくが、私は全学連でもなければ、社会主義者でもない。ただの一 浪人である。こんなことでアジアの指導者となったり、和平交渉の橋渡し をするてなことができるはずがない。 現政府に不満を抱く一浪人、18歳 小松 う〜ん、なるほど。 米朝 それを踏まえておいてですよ、ここにねぇ「題なし献金および常連採用規正 法草案」ってゆうのが……。 小松 (笑)出た、出た。 菊地 ついにできた。 米朝 横町のご隠居から出したってゆうことになってんやけどね。横町のご隠居は 関係ないと思うんやけどなぁ。神戸市須磨区のすえいしつとむとゆう方から ね。この改正規正法の草案は、 ・常連は、日に3回以上、年に50回以上採用されぬものなり。 ・常連は、神聖にして侵すべからず。 ・お貰いは、最高100万円までとする。 ・3円以下のお貰いは、勝手に処分してよい。 ・常連は、OBCより□□□。 ・プロデューサーは、常連か無名かの採用に困るときは、前者を優先させ るものなり。 小松 なるほど、常連を優先させる。 米朝 非常に常連を優遇する。 菊地 あぁ、なるほどね。 小松 既得権やな。 米朝 堺の横町のご隠居から出されていると、こうゆう。 小松 ほんまかいな。 米朝 それに対する無名人の声。 いい加減にさらせ。常連□□□を打倒せよ。 こうして、ついに、怒りを爆発させた無名人連合は、まず、横町のご隠居 の家に押し寄せ、ダイナマイトで玄関を打ち破り、なだれ込み、新聞で題 なしのネタを探していたご隠居を、袋叩きにして気勢をあげた。 ご隠居の談話 「我々も、この法案で誠意を示しているのだから、無茶せんといてぇな」 と、うず高く積まれた記念品の山の中で、こう語った。 次に、無名人連合は箕面のおおいよしかず氏の家に押しかけ、火を放ち、 火はたちまちの間に燃え広がり、おおい家は全焼した。 おおいよしかず氏の談話 「まあ、記念品、捨て値で売っても、家の一軒ぐらい建つわいな」 続いて、無名人連合は岡山のみずしまあきら氏の家に、バキューム・カー の放射を浴びせる予定であったが、電車賃がなくなったので、岡山に向 かってアカンベーをして解散した。 小松 (笑)たよりない、実際。 菊地 (笑)また、かわいらしい。 米朝 続いて、本の紹介をする。 ・常連入門 13万部。なかたにたかし。元常連が書く平易な入門書。 ・没入門 22万部。月亭可朝。元小米朝の同士が紹介する□□□。 ・恐るべき題なし 61万部。水本貴士がかってウィスキー事件を□□□。 ・バカをして儲ける本 52万部。小松左京。これは地でいっている著者最大の傑作。 ・お貰い経済学入門 12万部。本田プロデューサー。 ・□□□ 菊地 おもしろいですね、その本は。 小松 いやまぁ、そらまぁひどいな、しかし。常連法案て自分でかってに作って自 分でかってに怒っとんの。 菊地 この人も常連でしょ。 小松 (笑)マッチポンプやな、つまり。 小松・菊地 (笑) 米朝 「おうまのおやこ」とゆう歌があったでしょ。 菊地 「おうまのおやこは なかよしこよし」って歌ですか、これ? 辻向こうの 与太郎より。これ、ちょっと難しいわ。 ジョンソンさんと佐藤さんは 仲良しこよし いつでも 一緒に 非難を 非難を 浴びる アメリカのジョンソンさんは 優しい旦那 妾を見ながら コックリ コックリ □□□ 小松 妾て日本か。 菊地 神戸市灘区のあらきひでかずさんです。 小松 妾だったら、しかし、もう少しなんかお手当増やして□□□もんかなぁ。 米朝 小松氏にぜひ歌ってください。 小松 くれないもらう 人の金 国会をおおう 黒い霧 都の人に 嘘つけば 時効そかかれ 75日 その日の夜の 晩酌に のぼれる酒を あおるとき 物価は高く 上がりつつ われらが腹に 跳ね返る 上がったなぁ。煙草が上がって。 菊地 う〜ん、お酒、煙草上がりましたねぇ。 米朝 そうですよ。尼崎市のいわたにひでかずさん。神戸・小美智子とゆうのが来 てますよ。 小松 いや、まぁ。 菊地 小左京が出てきた思たら、そんな……。 小松 小米朝、小左京、小美智子。 □□□ 米朝 代議士の発言パロディー。 「お貰いに群がる題なし3バカの姿は、ハゲ鷹の群れを連想させる。」 小松 いや、まぁ。 米朝 この間、国会で問題になった発言ね。西宮代議士やったかな。我々、ハゲ鷹 やねん。 小松 てっぺんハゲ鷹とゆう奴だな、実際。 菊地 「てっぺんハゲ鷹」ってなんですか? 小松 「てっぺんかけたか」だな。 菊地 ああ。 米朝 「てっぺんかけたか」とゆうほととぎすの(鳴き声を表す語)。 小松 ほととぎすだな。 米朝 「ほぞんかけたか」てのもありますね。 菊地 はぁ、てっぺんハゲ鷹なんて聞いたことない。 米朝 「小松左京は売妻者だ。」 小松 (笑) 菊地 売国。 米朝 売国者。 小松 こないだ、まぁ、ウチの女房、聞くわけないと思ったら、女房の友達が女房 にバラしゃがって、ワイはとっちめられた。「どうゆうことなの?」って。 菊地・小松 (笑) 米朝 なんとかウチのを口説いてくれ、そんなことゆうさかい。 「日本一のぺちゃんこ」 てなんのパロディーでしょ? 小松 日本一のキビ団子のパロディー?。 米朝 代議士の発言パロディーですよ。大東市野崎のてづかとおるさんでございま した。 小松 なるほど。 菊地 はい、それでは1曲目をお送りしましょう。西区のさかきばらよしゆきさん のご希望です。園まりさんの「あなたのとりこ」 (「あなたのとりこ」の曲) 菊地 なんですか? そんな音。 (笛を吹いたような妙な音) 米朝 なんですか? 菊地 小松さん、まだ、寝てはんの違いますか? 米朝 けったいなスタジオやな。こんなスタジオ知らんわ、ほんまに。 小松 ほんまに、けったいな話しや。 菊地 いろんなものを取り揃えてございます。また、鳴ってる。 米朝 え〜と、これなんや。平こいたろう。 私、このたび高校へ入りましてドタマに来たこと、2、3、4、5、7ほ ど。 小松 (笑)。2、3、4、5、6、7。6つにメンツ足らんな。あと、パー、9 と1が来れば、イッキトンガン(一気通貫)。 米朝 何をゆうてる。 その1は、授業料に学割がきかないことである。 小松 (笑)。それはおかしい。授業料を納めるから学割が貰えるんであって。 米朝 そうやろ。 小松 授業料を学割したら、どうゆうことになるんやろ。 米朝 その2、掃除をしているのに、報酬をくれない。 3 授業料出してる我々が小さい顔をして、授業料を取っている教師 4 が大きい顔をしてる。つまり、従業員の方がいばってる。 5 課目が増えて、教科書代、ノート代がかさむこと。 6 大学生のように、角材で暴れさせてくれないこと。 7 俺の葉書を一度も読んでくれないこと。 菊地 それ、高校と関係あんのかな。 小松 それ、高校でっか、なるほど。 米朝 芦屋のいまくらあきらとゆう方はねぇ、 戦争にはジンクスがある。南から北を攻撃すると、必ず失敗する。 ・ナポレオンのモスクワ遠征 ・アメリカの南北戦争 ・ヒットラーのモスクワ遠征 ・ベトナム戦争 ・朝鮮動乱 ・中東動乱(エジプトからイスラエル) ・西南の役 ・関ヶ原の戦い 緯度とかなんか位置からゆうと、ほぼ北が勝利を治めてる。 それなのに、俺んとこはラジオ大阪の北に位置するのに、いっぺんも採用 されたことがないのは、なんとゆう不思議か。 菊地 勝ったことないわけ。 小松 そりゃそうですね。北のほうから南下してくる奴は大変。ユーラシアの北の ほうからね、□□□、ああゆうのが出てきたりして、ノルマンが全部制服し て。 米朝 日本の明治維新のときは、薩摩からこう攻め上って。 小松 あれはしかし、それからねぇ、西から東がいいんです。これ、勝つんです。 菊地・米朝 はぁ〜。 小松 あのう、源氏のときだけ、ちょっと逆なんですね。あれだけ□□□。あれ、 やっぱり、南から北へ攻めるにはね、やっぱり北が上やさかい、攻め上らな らんから。 米朝 上やちゅうのは、そら地図の話しだけで。 小松 そうでっか? 菊地 (笑) 米朝 今、南を上にして地図こしらえたら、これはどこの国の地図やと思て皆考え るんやないかなぁ。 小松 それから気に入らん国、皆はずした地図ちゅの1回こさえたら、これはおも しろい。 菊地 (笑)これはいいなぁ。 小松 いや、不思議なことなるやろなぁ、実際。地球の上には日本だけ(笑)。 菊地 わぁ〜っと、大きいに描いて。 小松 なんの役に、なんのいよにかは立つべきかなぁ。 けったいなの、来てまっせ。さっき、箕面で桜少し焼かれる人。おおいよし かずはん。 米朝 ああ、なるほど。 小松 あの人、どこらへんや、あんた。ウチ延焼してもたら困るなぁ、ほんと。こ れは、ほら、野坂昭如の「花の全学連」の。だいぶ問題になったでしょ。警 視総監が怒って。 米朝 あれあれ、「話の特集」に……。 菊地 だいぶ叩かれてましたねぇ。なんで怒りはったんですか、あれ。 小松 いや、なんかそのあんなもんで、□□□なんじゃちゅわけ。で、全学連は当 事者やと、そやけど、□□□。発想が古いなぁ。□□□ 1番はイントロで、2番は安価なヒロイズム、3番は全学連の考え方を正確 に描いた問題作。野坂・おおいの共作ですって。 □□□ 小松 どっと寄せ来る 機動隊 何をこしゃくな 官憲め 市民の声援 背に受けて 腕前見よと 体当たり 学生運動史に 燦然と 輝く三派の 全学連 今日もうち振る 自治会旗 無敵のゲバルト とこしえに プロレタリアに 栄あれ はぁ〜、また、しかし、これがまぁ……。 米朝 朝丸(現・2代目桂ざこば)ソングみたいで、しまいのところは。 小松 野坂さんの分も記念品、送ってくれゆうてまっせ。 米朝 そんなこと書いて2人分、とろうちゅうわけだ。 小松 野坂のほうに送ったろか。 米朝 2人分? 菊地 (笑)。びっくりしはるやろ。 小松 あぁ、まぁ、無責任やな、ほんとに、まぁ。 米朝 また、ねぇ、「水師営の会見」。 □□□、開城、約成(やくな)りて、敵の将軍ステッセルちゅのが、姫路の やすぎーとゆう人がねぇ、 和平の交渉 約成りて 北の代表 スアントイ ハリマン代表と 会見の 所はいずこ パリの街 ハリマン代表 おごそかに 鳩派の頭目 ジョンソンの 意向をまさに 伝(つと)うれば 彼かしこみて 謝しまつる 「さらば」と握手 ねんごろに 別れて行くや 西東(にしひがし) 砲音絶えし ベトナムに ひらめき立てり 平和の旗 小松 なるほど、いいね、これは。 米朝 こういってくれたら、いいやけどなぁ。 小松 う〜ん、ほんとやな、実際。 米朝 おらは出馬だぞ おらは出馬だぞ おらは出馬だぞ 参議院選挙だぞ 長い演説を カッコいい演説を おらは やっただ ベチャクチャと おらは ベチャクチャと しゃべりまわっただ やっと 議事堂の門をくぐれただ 政界よいとこ 一度はおいで 国会はおもろいし テレビにも出られる ワ〜 ワ〜 ワ〜 だけど 政界じゃ 恐い大臣が 金を押し付けて いつも怒鳴るんだ な〜 お前 政界ちゅうとこは そんな固いもんや おまへんにゃ〜 もっと 不真面目にやれ〜 小松・菊地 (笑) 小松 これはええなぁ。うまいな、それ。 菊地 うまいですねぇ、これは。 米朝 住吉区遠里小野のまるやまゆういちとゆう方です。 □□□ 米朝 いろいろパロディー、来てますがねぇ、「番町皿屋敷」が来てる。 青山播磨「皿を割り、余の心を確かめようとは、不届き千万。これへ、な おれ。手打ちにいたす」 お 菊 「お殿様。どうぞ、お許しを」 「ならん。もう一度、皿を勘定せい」 「お殿様!」 「早くいたせ」 「一枚、二枚、三枚、四枚、五枚、六枚。お殿様、百円札を、 今、何枚持っておられますか?」 「七枚じゃ」 「八枚、九枚、十枚。ちゃんとあるじゃないの。どうしてくれる のよ!」 菊地・小松 (笑) 小松 「ときそば」。うまいね。 菊地 まぁ〜、おもしろいですね、これ。言い方がおもしろい。 小松 しかし、「ときそば」のパロディーにしちゃ傑作やね。 米朝 これはねぇ、川西市のおかもとおとゆう方です。 菊地 百円札を何枚?(笑) 小松 米朝さん、こらしかし、あれですなぁ、高座でもボヤボヤしてられまへんな。 米朝 今週は、「たぬさい」のパロディーやとかね、「天狗裁き」、有名な噺のパ ロディーやとか、そんなんぎょうさん来てるんでっせ。びっくりしてしも た、わしゃぁ、もう。 小松 お貰いの中からなんぼか原作者に払ろて□□□。ふところは痛まへんねん。 米朝 そうですなぁ、もう。ボヤッとしてれんようなった。 菊地 それでは2曲目です。□□□ (曲名不明) 米朝 今日はまたすごいパロディーが来てますわ。 小松 なんでっか。 米朝 月日は百代の政治家にして行きかう年もまた政治家なり。政治の上に生涯 をうかべ、人の口とらえて老いを迎える者は、日々政治にして政治をすみ かとする 云々とゆう。え〜、これは守口のいちごいちしりさんとゆう方ねぇ。 小松 表の太道とゆう感じやな。 菊地 (笑) 米朝 それからねぇ、これは「那須与一」です。「扇の的」ですよ。 おりふし北風激しくして投書の数も多かりけり。葉書は読み上げ読み上 げ、すえただよえば、我もまだすでに□□□。スタジオには米朝、葉書を 揃えて読み上げ、ラジオの前では我ら轡(くつわ)を並べてこれを聴く。 いずれもいずれも、我ならんとゆうことなし。 我、目をふさいで、「南無八幡大菩薩、別しては我が国の神明、日光の権 現、宇都宮、那須の湯泉(ゆぜん)大明神、願わくば、米朝の手に我の葉 書を持たせたまへ。これを読み間違ごうほどならば、ペンを折り自害し て、人に再び面(おもて)を向かふべからず。□□□とおぼしめさば、こ の葉書、没にさせたもうな」と、心中(しんちゅう)に祈念して、目を見 開いたれば、風も少し吹き弱って、葉書も読みよくぞなったりけれ。 米朝 なんで北風が激しいと(笑)。なんでやねん。 小松 (笑)。おかしいな。 米朝、葉書を取って使い、息を吸うてとうとうと読む。奥目という字を十 二束見つづけたり。葉書はあってはよし、声は日本中に長鳴りして誤た ず、我の葉書、一分ばかりを読んで、ひいふっとぞ読み切ったる。 皆紅の葉書の、日出したるが夕日の輝いてるに、スタジオの中に飛び、踏 まれ踏まれ捨てられければ、米朝、大声で笑い、ラジオの前でかじりつい て泣きにけり。 米朝 これは不思議やね、どうも。 小松 これはおもしろいな、しかし、それは。 菊地 (笑) 米朝 なるほどねぇ。 小松 なるほど。船ばた叩いて(ドンドンという音)。 米朝 これは、吉田兼行てな名前で書いてある。 小松 ミッチーがどうですか。舟の上へ立って扇を2枚、こう持ってパッパッと。 菊地 やらしい(笑)。 米朝 招くとゆう。 小松 □□□ダンスとゆうやつ。 菊地 やらしい(笑)。 小松 あの、パッパッとゆうやつをやる(笑)。 米朝 これは誰や、これは。奈良のかねしろしげひろってゆう方ね。 「アメリカちゅう国は、ほんまにスケールの大きい国やで」 「そらまた、なんでや」 「そやかて見てみい。今、アメリカの国中、人間を使こうて西洋将棋して るやないか」 「どうして?」 「どうしてて、お前、人間、白と黒とに別れて喧嘩してるやろ」 「ああ、なるほど。そやけど、チェスでも王さんやられたほう、負けるん と違うか?」 「そらそうや」 「そやのに、キングがやられたのに、まだ暴れてるのはどうやろ」 「あら、キングゆうたかてほんまの王さんやあらへん。ただのビショップ や」 「ああ、さよか」 「今、白、あぶないで」 「なんでや?」 「なんでやて、見てみ。大統領、身動きできへんがな。もうちょっとで詰 むで」 菊地 なるほど。 小松 なるほど。チェスやな。そらちょっとチェスを知らんと、□□□。 米朝 「ビショップ殺人事件」てありましたな。ヴァン・ダインでしたな。 小松 ビショップ・キング殺人事件だから、えらいこっちゃなぁ。 米朝 貴番組を聴いていますと、クラス費の残りが相当集められているようで す。私ども、京都桂高校、旧1年7組も早速□□□、決算をいたしました ら、1340円もの赤字となってることが判明いたしました。この気持ち だけ受け取っていただきたいと思います。 そこで、お願いがございますが、1340円お送りいただけませんでしょ うか。 菊地 どうでしょう、まぁ(笑)。 小松 (笑)。まぁ、お貰いの上前はねる奴が出てきよったなぁ。 米朝 □□□区のたかぎひろし□□□。 小松 ここだけの話しやけども、送っといてねぇ、なんやこの頃、なんやあっち こっちのほら、ややこしいでしょ。日通事件以来、検察がえらい見て歩いて るから。まぁ、ほら、この間も、ほら校長はんが中学生を世話して……。 菊地 ああ、斡旋してお金をお礼にて……。 小松 そいで、お金もろたり、上がってまっしゃろ。 米朝 なるほど、なるほど。 小松 ここらへんもそろそろ司局の手が伸びてくるんやないやろか。 菊地 司局の手(笑)。 米朝 いや、ここより桂高校のほうへ伸びるんやないか。 小松 (笑)。そうゆうときに、そのなんかその学級費を少し補っておいてやると ね、地獄に行ってからお釈迦が、お貰いを上から垂らしてくれるかも……。 米朝 5千年後で開けるものをタイムカプセルに埋めてまっしゃろ。あれに入れた いもの、この投書を入れといたら、どないやろ。 菊地 それは、おもしろいでしょね、ぜひともね。 米朝 考えよるやろ、これ、いったい何やろと思て。 小松 (笑)。その時代が判らんと、ちょっと判らんやろね。 菊地 そのころも、同じようなあれがあるかもわからない。 米朝 判りませんなぁ、これは。謎として残って。銅鐸とこの葉書と……。 小松 タイムカプセルん中に銅鐸入れといたら、これわからんやろね。 米朝 ひょっとしたら、5千年後の学者がそれを解決したりして。 菊地 (笑) 米朝 え〜、時間が来てしまいました。 菊地 はい、お便りお待ちしています。宛先は、大阪市北区梅田町ラジオ大阪「題 名のない番組」の係りです。 (CM) ♪ジャジャジャジャ〜ン、続いて出囃子、以後、交響曲第5番がBGM 菊地 梅田スポーツガーデンがお送りしました「題名のない番組」。使いましたレ コードは、ポリドールとキング。おしゃべりは、 米朝 桂米朝 小松 小松左京 菊地 菊地美智子でした。 |